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Angel Blue ~アメリカICUナースのブログ~

カリフォルニアの大学病院にあるICUで看護師をして7年目。 ICUの中で起こる日々のドラマ。 アメリカの命の現場から生の声をお届け! アメリカ医療の裏側やナースの日常を覗いてみませんか? まずは「ハイライト」内の記事からチェック!!

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今日は80代のとってもキュートなお婆ちゃんが患者さん。

食道と胃の境目の部分がすごく狭くなっちゃった患者さん。

そのせいで、食べ物が胃までなかなか降りて行かず食道に食べ物がガッポリ詰まっちゃってるみたい。


それはともかくとして、一応ほかの持病のお薬を今日あげたりしてたんだけど。。。


??!!


なんか呼吸の仕方がいきなり変わってないかい?!


肩もお腹も使って苦しそうに呼吸してる!


酸素飽和度80台半ば。。。 (通常95%以上


おかしい。。。

とりあえず、喉の奥に溜まった痰やらなにかを吸引


酸素飽和度もあがり、しばらくこれでOK~!




・・・かと思いきや!


あら??!!


80台前半にダウン。。。?

鼻カニュラの吸入酸素量UPしとこ!

鼻カニューラ u-shizuoka-ken.ac.jpより



それでもどんどん急降下~ ↓↓↓↓↓


きゃ~!!70台!!!!!

酸素蘇生バッグで人工呼吸開始

アンブ蘇生バッグcs-labo.jpさんより写真拝借

近くにいたナースに叫んで助けを求め、ドクターと呼吸療法士を呼んでもらう。


患者さんの顔がみるみるうちに真っ青になっていく!

でも、とりあえず意識は正常。



それでもまだまだ急降下~~~↓↓↓↓↓


60台!!!


これ本格的にヤバい!

人工呼吸続行してるのに、なかなか酸素飽和度上がっていかない。。。


そうこうしてるうちに、脈拍数も激減し


脈拍45!!!!!


ひぃえ~~~!!!!!

これはコード・ブルー、発令せねば!!!




・・・・・と思ってた矢先、少しずつ脈拍も酸素飽和度も回復


ほっ。


あ、ちなみにこれ、全部でほんの5分くらいのエピソード。
でも、実際に現場にいると、この数分が長~く感じるんです。



酸素飽和度が通常値に戻ったので、酸素バッグからマスクに変えようとして・・・



ん???!!!


なんか、口の中変じゃない???


「ちょっとお口見せてね~」って、口の中覗くと・・・


ギョっ!!!!!


何じゃこりゃ!!


「ちょ、ちょっと舌出してくれますか~」


で、出てきたのが見たこともないくらいずごい

巨大に膨れ上がったベロ


ぎゃ~~~!!!


び、びっくりしている場合じゃない。

とりあえず、気道確保の器具口に入れておこう。


犯人はこれか~! 

この腫れ上がったベロのせいで気道が塞がって息ができなくなっちゃったのね。

かわいそうに。。。



それにしても、アレルギーかなぁ。。。

ん~・・・ でも体に湿疹とかも出てないし。。。


で、ドクターやっと登場。

診察した結果、やっぱりアレルギーであろう、ってことに。

とりあえずアレルギーショックの薬をいくつか注射。

おそらく朝飲んだ血圧のお薬が原因の可能性高し。


ふぅ~。。。

なんとか今日はコード・ブルーも気管挿管もしないで済んだよ。。。

 コード・ブルーとは? 
↑ コード・ブルー

大事に至らなくてほんと良かったね、お婆ちゃん☆

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昨日の患者さんは嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)
20代女子大生

嚢胞性線維症は日本人には非常に稀ですが、アメリカでは、白人を死に至らしめる最も多い遺伝性疾患です。 
白人乳児約3300人に1人の割合で発症するそうです。
メルクマニュアル医学百科より)


遺伝性疾患。


この患者さん、実は双子。(確か一卵性双生児だったと思います)


その双子姉妹のもう一人のほうも、もちろん同じ病気を抱えています。


でも、病気が発症してICU入院を強いられているのはこの患者さんだけ。

今のところもう一人は発症せず、双子の片割れは健康らしいです。


それって正直、どんな気持ちになるのかなぁ。。。


この患者さん、去年肺の臓器移植を受けました。

今年になって病状が悪化して、今は気管切開を経て呼吸器にずっと繋がれて手足もろくに動かせないほど弱った状態

移植した肺が拒絶反応を起こして悪くなった可能性もあるので生体検査をしたりと、移植手術の大きな傷跡に加え、体には新しい傷がいっぱい

まだ20代の女の子、病気も嫌だけど、やっぱり傷も気になるよね。

本当なら今頃、恋愛とかオシャレとかいっぱいして、華のキャンパスライフを楽しんでいるはずだったよね。

彼女の病室には、自分の大学のバスケットボール選手からのサイン入&メッセージ付きポスターが飾られています。

大のスポーツファンの彼女は、思いっきり黄色い声をあげながら、スタジアムで生でスポーツ観戦していたいんだろうなぁ。


双子の片割れ(以下妹とします)はきっと、今頃自分の人生を謳歌してる。


どんな気持ちなんだろう。。。


「なんで妹じゃなくて私?」って思う?

それとも、「愛する妹の方じゃなくて良かった」って思う?



妹は妹できっと、とっても複雑な気持ちなんだろうなぁ。。。

「私じゃなくて良かった」ってのが正直な意見?

やっぱり「私だけ健康でなんだか申し訳ない」と罪悪感に思う?

それとも「私にはいつ同じ状態が待ち受けているんだろう」と恐怖と不安に思う?


今は両極端の状態にある双子姉妹、お互いにどんな心持ちで毎日を過ごしているんだろう。。。


そして、同じ病気の双子姉妹を生んだ両親はどんな気持ちでいるのかなぁ。。。

やるせない気持ちだよね、きっと。。。



そんな風にふと、心理状況を模索してしまったけど、

この患者さんが、弱ってる中一度だけ見せてくれたとっても可愛い笑顔はそんな私の邪念を一気に吹き飛ばしてくれるほど素敵な笑顔でした。

その瞬間、何としてでもこの子を華のキャンパスライフに戻してあげたい、とまたエネルギーが湧いてきた☆

輝かしい笑顔、一生懸命見せてくれてありがとね。


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今日は感謝祭で世間は休日。

感謝祭は、毎年決まって11月の第4木曜日です。
感謝祭の説明 By Wiki



アメリカではクリスマスに匹敵するほどの大きな休日で、

家族で集まって七面鳥を食べるのが一般的。



もちろん、病気はそんなことにはお構いなしなので、

ICUはいつもと変わらずフル稼働

強いて言えば、スタッフ同士で食べ物や飲み物を休憩室に持ち寄って、

皆交代でその食べ物を食べてちょっとしたパーティー気分を味わうくらいです。

なので、今日働いてるナースは、前日か翌日にお祝いする人がほとんど。



さて、そんな感謝祭に受け持った本日の患者さん。

C型肝炎による肝不全、腎不全、大腸炎、胸水貯留、糖尿病、甲状腺機能低下、

などメインのものだけでもたくさんの病気を併発している方。



肺には呼吸器、腎臓には24時間稼働の人工透析、

そして更に昇圧剤や鎮静剤、栄養剤の点滴、

鼻には胃までつながる長い胃チューブ。



お尻には骨まで貫通したひどい床ずれ



腹水でお腹が膨れながらも、

肝不全患者特有の浅黒い肌をしたガリガリに痩せ細った体には

いろいろな種類のたくさんの機械が繋がれています。



ICU典型的な機械に繋がれてないと生きていけない患者さん。

当たり前ですが、この全部の機械を操作・管理するのはナースの仕事。

1分たりとも気を抜けません!




この患者さん、こんなに重症だけどまだ51歳。

19の頃から病気で、既に3回も腎臓移植を受けたそうです。

でもその移植した腎臓が拒絶反応を起こして何度もダメになって、

今の人口透析に至ってるのです。



30年以上もずっと病気と闘ってる訳ですね。



残念なことに、その闘病生活にもそろそろ限界が見えてきているようです。

病状はどんどん悪くなるばかりで、

呼吸器や透析の機械から離れることが今後も出来ないであろう予後。



こんな時は、QOL(Quolity Of Life)を考えて、

安楽死やPalliative Careというのをドクターが家族に提案します。



Palliative Careというのは、日本語でも聞きなれない言葉でしょうが、

和訳で緩和ケアとか対症療法という言葉になるそうです。



簡単に言えば

『体に負担のかかる治療または全部の病気治療行為をやめて、死ぬまで痛みの無い状態をキープしてあげる療法』

とでも言いましょうか。



これはあくまでも私なりの説明なので、

厳密に合ってるかどうかは責任とれませんが。。。



ちなみに、緩和ケアというのは大きなくくりで、

ホスピスもそのうちの1つです。



患者さんの話に戻りますが、

この患者さんの家族と緩和ケア専門のドクターの間で、

今日家族会議がありました。

もちろんナースとして私もその会議に参加。



まず、ドクターが今のとっても乏しい予後の状況を説明。

そして、家族の気持ちや意見を聞く。



家族は8人くらい居たけど、全員口を揃えて、

あんな辛い思いをしてる姿をもう見たくない」と。



と同時に

でも彼女が(患者)それでも治療を続けたいって言うなら、その意見を尊重する。今までずっとずっと闘って来たから、ここで諦めたくないんだと思う。」

とも言ってました。



当の患者さん自身、

まだ治療をやめたくないという意思表示を今朝もしていたようです。



で、それを踏まえた上で大きな疑問となってくるのは、

患者さん自身がどれだけ今の状況を理解・判断する能力を持っているのか

ということ。



意識レベルが低かったりして判断能力がもし欠けていれば、

患者さんの意志よりも家族の意志の方が大きく反映されます。



肝不全の患者さんは、毒素が脳に溜まって精神混乱状態になったりするし、

この患者さんは痛み止めの点滴も受けているので、

その薬で朦朧とした状態になったりしている可能性もあります。



患者さんをよく知る家族の意見は、1人を除いて皆、

患者さんに今現在判断能力がある、とのことでした。



それを踏まえて、このドクターが実際に患者さんを診察して

最終確認を取ることに。



結局、患者さんに判断能力がある、との意見で固まり、

治療を続けるという患者さんの意志に従うことになりました。



しょっちゅう痛い思いを強いられてる患者さんを目の当たりにしてる私は、

彼女の命に対する奮闘振りに、頭が下がる思いです。



でもその一方で、家族の葛藤も十分理解できます。

患者さんのことを愛しているだけに、痛い思いをするのを見るのが辛い。

でも絶対死んで欲しくないし、頑張っているのなら応援してあげたい。

いろんな気持ちが溢れて、交錯して、ものすごく複雑な気持ちなんだと思います。



またそれと同時に、

死そのものにに対する恐怖感や、

愛する人を近々失ってしまうかもしれない喪失感

もいつしか大きくなっていくのかな。



今日、この家族のリーダー格で患者さんの次に治療の決定権を持つ、

患者さんのお姉さんが、ふとこんな言葉を私に漏らしていました。


「彼女(患者)がちゃんと判断できる状態でほんと良かった。 だって、判断能力がもし無い状態だったら、私が最終判断をくださなくちゃいけなくて、そんなことになったら私、責任重大だし、どうしたらいいのか全く分からないもの。。。」




とっても素直な意見だと思います。

そして、そんな素の思いををナースの私に打ち明けてくれたこと、

私としてはちょっと嬉しかった。

私のことを信頼して頼ってくれている証拠なんだと、勝手に解釈しています!



「今、すごく辛い時期なのは分かるけど、その辛さを一緒に分かち合って支えあってくれる兄弟や家族がいるのは実はラッキーなことよ。一人じゃないから大丈夫。」


って私が言うと彼女、いままで我慢してたものが解けたのか、

ほろりと涙ぐんでいました。



こういう時にこそ、兄弟や家族のありがたみを噛み締められるんですよね。

同じレベルの気持ちを、同じ視点で分かち合えるのは、

結局自分の兄弟家族だけですから。




感謝祭、冒頭で、家族で集まる日って書きましたが、

この親戚家族で集まるイベントを面倒に思う人も世間にはたくさんいます。



感謝祭の親戚家族の集まりで、

家族や親戚と大喧嘩してERに運ばれる人も結構いるって話。



でも、今日せめてこの患者さんの家族には、

家族のありがたみを分かってもらうことができたかなぁ。。。




ちなみに、私の感謝祭ディナーは昨日でした。

すごーく寒かったので、家で彼と2人、湯豆腐大会して温まりました☆

日本的には七面鳥じゃなく、やっぱ鍋で団欒でしょ?!


湯豆腐



日本から調達してきた、とっておきの幻の日本酒も飲んで。

心も体もすっごく温まりました~☆☆☆




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今日も昨日に引き続き、同じ患者さん2人を受け持ち。

ブログに書いたけど、ほとんど座る暇も無いほど忙しくて、

残業1時間半。。。



昨日の時点で、気管挿管1件入り、

結局2人とも呼吸器に繋がれたことはお知らせしましたが、

最初から呼吸器に繋がれていた方の患者さん、今日は急遽、


気管支内視鏡検査入りました。

<気管支内視鏡検査についての解り易い説明はこちら>




ICUでは患者さんの負担を出来るだけ避けるため、

こういった大きな検査もベッドサイドで行います。



検査室に患者さんを運ぶとなると、ICU患者さんは重篤な状態なので、

運搬時のリスクがやはりとっても高いのです。



同種の胃カメラや大腸カメラもICUではベッドサイドで行われます。

更に、心臓のカテーテル挿入の手術とか、

気管支切開手術もベッドサイドでやっちゃいます!



一応、リスクを最低限に抑えるためにベッドサイドで行われる

この気管支内視鏡検査ですが、今日のこの患者さん、

検査直前に何もしてないのに血圧急降下



これじゃ検査が出来ない!

ということで昇圧剤の点滴を即始めて血圧安定を確認してから、なんとか検査開始。



モニター画面に肺の内部(気管支)が映る。

この患者さんは私が見た中でも結構きれいな気管支。



私が昔見た患者さんの中では、

気管支にモコモコのカビがびっしりと蔓延ってる人とかいましたからね。

あれは、身の毛もよだつ衝撃的映像!



気管支内視鏡検査では、肺の中がどんな状態か見るだけでなく、

生体穿刺採取や、気管の分泌物(いわゆる痰?)の検査検体採取

も同時に出来ます。



ちなみに、気管の入口にある声帯を見るのがおもしろい!

声帯のYouTube映像リンクはこちら



上の映像は鼻からカメラ入れてますが、

今回の患者さんのように気管支挿管されてる人は、

気管内チューブの中を通って気管をチェックします。



ICUで働いてると、

たまにこんな興味深い映像を見ることができるので、楽しいです☆



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只今、くたくたです。。。



今日の受け持った患者さんは2人。

一人は呼吸器に繋がれて、鎮静剤で昏睡状態。

もう一人はうつろだけど意識があって呼吸不全すれすれの酸素マスクの患者さん。



いろいろやることがたくさんある患者さん達で、朝から大忙し。

座る暇もお手洗いに行く暇もなく
、動きまくってました。



で、夕方頃。

ただでさえ忙しいのに、酸素マスクの患者さんの呼吸状態が悪化!

とうとう呼吸不全に。。。



というわけで、緊急に、気管挿管!


気管挿管 画像  (気管挿管とは?解説&写真 by Wiki )


80歳の患者さんで気管挿管が困難な可能性があったので、

麻酔科医に挿管をお願いすることに。



ナースの私の役割は、

動かないように体を一時的に麻痺させる薬や筋弛緩剤を注入すること。

それと同時にもちろんバイタルも記録。



気管挿管は何度となく立ち会ったけど、

やっぱり部屋いっぱいに緊張の空気が走る。



気管挿管が無事成功し、患者さんは呼吸器に繋がれました。

最初からあまり話せる状態の人じゃなかったけど、

呼吸器に繋がれると見た目が一変。



朝にうっすら見せてくれたあのカワイイ笑顔が

まるで幻だったかの感覚に襲われます。



この患者さん、

結局今日だけで3つの穴に管突っ込まれることになっちゃって、

とてもかわいそう。。。

尿道、お尻、口(気管)。

すっかり典型的なICU患者の仲間入り。



気管挿管とか大きなアクションがあると、患者さんも大変だけど、

ナースも大変。

結局その記録やなんやらで1時間半も残業。

14時間も病院でせっせこ働いていましたよ。。。



今夜病院から出た10時間後にはまた戻ってなくちゃいけないの~?!

考えただけで、どっと疲れが。。。



ずっと立ち通しの歩き通しで、ふくらはぎ、パンパンです!!

てか、この積み重ねでどんどん足が太くなっていってるんだよねぇ。。。(T_T)

明日はあまり忙しくないといいなぁ~。。。







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プロフィール

名前
Angel
職業:
看護師 Registered Nurse
趣味:
ゴルフ ピアノ 食べ歩き
自己紹介:
1978年、早生まれ
埼玉県出身
カリフォルニア在住
アメリカ暦9年

日本の大学卒業後、医学研究職2年。

その後アメリカの大学へ留学。看護学部を卒業しBSN(Bachelor of Science in Nursing)取得を経て、RN(Registered Nurse)免許取得。

2004年夏より、カリフォルニアにある大学病院のICU(集中治療室)にて勤務中。
7年目のベテランナース(?)

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