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Angel Blue ~アメリカICUナースのブログ~

カリフォルニアの大学病院にあるICUで看護師をして7年目。 ICUの中で起こる日々のドラマ。 アメリカの命の現場から生の声をお届け! アメリカ医療の裏側やナースの日常を覗いてみませんか? まずは「ハイライト」内の記事からチェック!!

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皆様、大変ご無沙汰しております。
Angel です。

最近、被災地医療ボランティアの準備や募集活動で手一杯なので、当ブログまでなかなか手が回らない日々が続いております。

本日は皆様のご協力を賜りたく、私の方から『被災地での医療ボランティア募集のお知らせ』をさせていただきます。

下記に詳細記述がございますが、只今Project HOPE という医療関連の慈善団体において医療者のボランティアを募集しております。

ご本人のご志願はもちろんのこと、アメリカでの医療資格を持つご家族やご友人がいらっしゃいましたら、どうかご紹介いただけないでしょうか?
 
現在、アメリカにて医師として働く私の友人が、今回被災地に出向いて医療ボランティアをした経験をもとに、日本政府とアメリカのボランティア団体Project HOPE と密接に協力して、アメリカで免許を持つ日本人医療者のボランティア受け入れ体制を確立しようと、日々寝る間も惜しんで活動してくれています。

最近になってやっとのことで、受け入れ体制が整いつつあり、私自身も看護師としてその派遣第一隊の一員になり来週にも被災地に向かう予定ですが、今後も復興の目処が立つまで、長期に渡り医療部隊の派遣を継続していく必要があります。
 
今回の医療部隊派遣では、被災地の特性を考慮し、 「日本語が流暢に話せる」というのが必須条件です。

そこで、米国においての日本人ネットワークを最大限に利用して皆様のご協力をお願いしたく、この場で告知させていただいています。

アメリカ各地に住む日本人多しといえども、その中から医療者を見つけていくのは至難の業でございますので、皆様の口コミ情報や広いネットワークが鍵となります。

お知り合いに医療者がいらっしゃらなくても、こういった募集があるということを周りの方に伝えていってくだされば幸いです。

皆様のご協力のほど、何卒宜しくお願い致します。
 
詳しい業務内容は、時期や今後の復興状況などにより、変わってくると思いますので、ご志願をいただいた方に、その都度最新情報をお伝えします。

こちらでコンタクトリストを作って、随時最新情報を配信しておりますので、必ず私の方にご連絡ください。

ご連絡は、この記事の一番下にあります、メール送信フォームご利用ください。

尚、現地訪問中はメールにアクセスできるかどうか分かりませんので、お返事が遅れる可能性があることをご了承ください。


簡単にではありますが、募集についての情報を下記にまとめました。

ご連絡をいただいた医療者の方には、登録方法や更なる詳細情報をお送り致します。


 
**************************************
 
<被災地医療ボランティア募集について>
 
募集人員:医師 2~3人
     看護師 4人
     薬剤師 1人
     理学療法士 1人
    
     これが理想的な1チームの編成となります。(病院派遣の場合)
     全体的な募集定員ではなく、各チームに必要な人材例です。 
 
派遣先:岩手県または宮城県
 
派遣期間:2週間(現地に実際に居る期間)+ 移動日
 
派遣提携ボランティア団体:Project HOPE
 
費用:往復の渡航費用・滞在費・食事、Project HOPE によりカバーされます。
 
活動内容:


  • 家庭医師会(PCAT)などと共同で気仙沼の訪問医療
  • 岩手県の行政(県庁医療推進福祉部)を介して宮古、釜石、大船渡の病院(ERなど)をサポート
  • 岩手県の行政を介して大槌、陸前高田の仮設医療所への医療機材(エコー、EKG、レントゲン、内視鏡など)のサポート


     
    <補足説明>

    Project HOPE は、長期サポートするプロジェクトですので、一年ほど継続してサポートする予定とのことです。

    Project Hope のロテーションは2週間、プラス旅行日数と他と比べて長めですが、飛行機代、賠償保険料、旅行保険料、空港からの出迎えも含め日本での交通手段は全部カバーされるそうです。

    もし、現地派遣された医療者ボランティアの方ご自身のレスキューが必要な事故などに会った場合、ヘリ等の空路を使って緊急避難させる保険もカバーされるそうです。

     
    「被災地での医療スタッフは既に足りている」という誤情報が出回っているようですが、被災地にも格差があるようで、実際に最近視察に行ったドクターの話では、被災地によってはドクターが2人しか残らなかった地域もあるようですし、場所によっては毎日250人程度来る外来患者を数人の医師と数人の看護師で対応するといったように、未だに厳しい状況を強いられている地域もまだまだたくさんあるそうです。

    残念なことに、まだ国や行政の方で需要・供給の情報管理がうまく出来ていないそうなので、スムーズな受け入れ体制を確立するのに時間がかかっているようですが、担当の人達の話では、どの病院に連絡しても「とにかく人員が必要」とのことらしいので、医療者派遣の需要はまだまだ大きいようです。


    今回、海外からの医療者派遣という窓口を作るのは日本で初めての試みだそうですので、受け入れ体制を確立するにはいろいろと高いハードルがあるようです。

    今後、上記の募集要項などが変化することもありますので、ご志願いただいた方には出来る限りの最新情報をお伝えしていきたいと思います。
     
    出来るだけの情報をお伝えしようと努力はしていますが、人伝いに得た情報もありますので、実際の状況と私の情報に多少の差異がある可能性も完全に否定できませんので、その点はご容赦ください。

    尚、私はProject HOPEのスタッフではなく、単に皆さんに情報を広めることで支援の輪を広げようとしている一医療者でしかございません。

    日程調整や適応性などのご質問にはお答えしかねますので、そういったご質問は、Project HOPE のスタッフに直接お問い合わせください。

    その他のご質問などございましたら、私の知る範囲でお答えしますが、被災地訪問中はお返事が出来るか分かりませんのでご了承ください。
     

    被災地の方々のため、日本のために一緒に頑張ってくださる医療者の方々からのご連絡、心よりお待ちしております。

    Angel 
     
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Sorry for the notice in English... I'm at work, right now...

I just wanted to know urgently if there is anyone who is interested in

going to the disaster areas in Japan from U.S. to volunteer.



My Japanese doctor friend is in Japan right now, trying to organize volunteer

system to open a door for U.S. licensed medical professionals.

At this time, we are looking for JAPANESE SPEAKING professionals only.



The medical professions they are looking for are:

Doctors

Nurses

Pharmacists

Physical Therapists



If you have the U.S. lisence above and are ambitious enough to

go to the disaster areas and help,

please send me a comment with your email address,

and I will contact you by email.

Please make sure the comment is not a disclosed one for your privacy.



The 1st team will be leaving for Japan around 4/20/11,

but there should be the 2nd, 3rd team to be sent after that.

I think (I hope) it will be an ongoing process throughout the year.



The duration is basically 1 week, but if you're willing to stay,

you can extend your stay to 2 weeks.

Needless to say, it is mentally and physically demanding mission.

Please be well prepared for anything unexpected.



The transportation cost will be covered by the volunteer agency.

The lodging will be on the floor in the hospital.

A warm sleeping bag will be needed for your comfort.



Meals will be provided to minimum.

It is recommended to bring extra food for yourself, if desired.



Please understand that the agency or I cannot be responsible
 
for any injury or anything worse. 



If you are or know anyone interested in volunteering,

please send me a closed comment, and I will guide you the way.



Of couse I'm going there, as well!!!

PLEASE JOIN US!!!!!


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毎日毎日、Ustreamで被災者の方々の苦しみや震災の無残な爪痕を観ていて、

ひどく胸を痛めています。



アメリカに居る私が出来ることは、とりあえずは募金かな、と思って募金をして・・・

募金集めの活動をして・・・



でも、それでもまだ足りない!!!



実際に被災地に行ってこの手で被災者の方々を助けたい!!!



毎日毎日、大海の向こうにある対岸から指くわえて被害状況を見ているのは

もう嫌です。。。




怪我をしている方々、持病のある方々、避難所で体調を崩された方々、

恐怖体験をしたり家族を亡くしたりしてひどく心を痛めている方々・・・



そんな方々のために、看護師として出来る限りのことをしたい。



募金するお金も私の財産の一部だけど、


看護師としての知識やスキル


被災地まで行って皆を助けたいというこの情熱


私の持っている大きな財産だから。




私の財産を出来る限り寄付したい。




ということで、

被災地に行く覚悟を決めました。




今日、ウチの大学病院のICUに勤務する日本人ナース仲間で話し合い、

皆で被災地に向かうおうということになりました。




アメリカはボランティア活動がとても活発な国なので、

何かある度、看護組合でも看護師のボランティアチームが結成されます。



アメリカの免許だけで日本での看護免許を持たない私にとって、

個人の看護師として被災地に向かうことは困難と思われるので、

このボランティアチームの一員として行こうという計画です。

現在、看護組合の幹部の人達がいろいろ調査中とのことです。



日本赤十字社では500人の医療スタッフを現地に派遣したものの、

現地の壊滅的状況により現在は一般のボランティアを受け付けてないというし、

看護師のボランティアについてサーチしても、ほぼ具体的情報ゼロ。。。



日本での医師免許を持っていない医師でも医師行為を認めてるみたいけど、

そんなに緊急の事態ならば、もっともっと医療ボランティアの人達に対して

もっともっと応募情報をオープンにしてボランティアに行きやすい環境を作って欲しい。




どこかの病院では手に負えなくなって、新規の患者受け付けをやめたという話。

一日も早く被災地に行ってお手伝いしたいけれど・・・

今の時点ではウチの大学病院の看護組合によるチーム結成を待つしかないのかなぁ。

日本のことなのに、アメリカ人に任せちゃってて大丈夫なのか若干不安。。。



もし何か有用な情報を持っていらっしゃる読者の方いらしたら、ぜひコメントください☆



なんだか気持ちばかりが前のめりになっちゃってるから、

チーム結成を待つ間、ちゃんと準備を始めていかないと!





何のご縁かわからないけれど・・・

辛くて苦しんでいる人を見ると何もせずに居られない性格。

たまたまそういう風に生まれ育ってきちゃったんだから仕方ないよね。



こんな性格になったのは幸か不幸かわからないけれど、

皆がこういう性格をもっているとは限らないから、

たまたまそういう性格に生まれ育った人達が行動しなくて、誰がする?



看護組合のボランティアチーム結成や日本側の受け入れがスムーズにいかなかったら

被災地に向かえないという可能性もあるけれど、

とりあえずこの決意を実現化させるために努力してみたいと思います。

もしも何らかの理由で敢なく行けなくなったとしても、どうぞ温かくお見守りください。。。
 




このブログを読んでくださった方、


あなたのもっている財産は何ですか?



たとえ、あなたが節電マニアだったとしても、

その節電スキルはあなた自身の持つ財産であり、

それを寄付することで被災地の方々が少しでも救われますよね。




個人個人、財産の形はいろいろあると思います。

少しずつでも良いと思います。

あなたの財産を被災地の方々に寄付してあげてください。





※こちらの気になるトピック記事もどうぞ

必見! 原子炉時限爆弾?!

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さて、何度もしつこいようですが、本日25日は私の 誕生日 なんですね。



で、ブログを始めて初の、その記念すべき誕生日に何の記事を書こうかなぁ~って

考えていたのですが・・・

私がずぅ~~っと温めてきた話を一つ、この機会に公開しちゃいます!



新卒でICUナースになりかれこれ7年が経ち、

今年8年目に突入しようとしているところですが、

その長い看護師歴のなかで間違いなく一番印象に残っているエピソード




これは、遡ること6年前の夏。

プリセプターとの3ヶ月にわたるトレーニングを終え、独り立ちして僅か半年くらいの頃。



この時受け持ったのは50代の女性患者さん。

旦那様と20前後の息子さんと娘さんがいらっしゃる方。



この患者さんはを患っていらして、既に入退院を繰り返す闘病生活3年

気管切開をされて常に呼吸器に繋がれた状態。

食事も口から取ることが出来ず、確かお腹の胃チューブを通しての栄養補給。

長い病床生活のため、お尻にひどい床ずれも。

喋るのも気管切開のため声が出せないので、紙に書いてコミュニケーション。



ただこの患者さん、気はとても確かだし、いつも比較的お元気で、

自分で髪を梳かしたり歯を磨いたり、セルフケアを一人で問題なく出来る方。

病人なのにも拘らず、不思議なことになんだかテキパキした印象がありました。



ところが・・・

そんなICUでは珍しく元気でテキパキした患者さんなのに、

夜勤のナースからの申し送りでは


「明日、本人の強い意志で安楽死を開始する予定。」


とのこと。



私は、もちろん

「えっ?!あんなに元気なのに何で??!!」って反応。



安楽死の患者さんは何度となく看てきましたが、実際に死に近い患者さんばかりで、

こんなに元気なケースは珍しく、今過去を振り返っても、この時くらいかな。



あ、ちなみにここで安楽死って私言っちゃってますが、

勉強不足により安楽死の正確な定義として安楽死の部類に入るのか定かではありません。

そこのところご了承くださいませ。。。



とくかく、私がここで言う安楽死というのは、英語で 

Withdrawal Care、Comfort Care、 End of Life Care などと呼ばれるもので、

大きく言えば、Palliative Care(緩和ケア)のカテゴリー下に入ります。

もしかしたら、尊厳死と言ったほうが近いのかな。。。



具体的にどういう方法を取るかというと、その人それぞれでオプションは様々ですが、

一般的には
  • 抗生物質その他諸々の病気に治療につながる薬の投与を止める
  • 昇圧剤の点滴や輸血など、延命に繋がる全ての行為を止める
  • 血圧などのバイタルサインチェックや全ての検査を止める
  • 呼吸器や人工透析機などの機械から外す(気管内挿管の場合は抜管)
  • モルヒネやフェンタニルなどの鎮痛麻薬の点滴を始める

というように、一番のゴールは


延命に繋がる行為を止めて、痛みや不快感の緩和に専念し、安らかな死を迎える


ということです。



一応医師がオーダーを書きますが、あとは全て看護師の手に任されます。



つまり、モルヒネなどの点滴の量を調節するのもナース、

抜管や呼吸器を外すタイミングを見計らうのもナース、

昇圧剤の点滴をストップするタイミングを見計らうのもナース。。。



死の時期を左右してしまう、責任重大な大仕事です。

もちろん、必要に応じてその都度ドクターや呼吸療法士と話し合いながら決断を下します。



とにかく重要なのは、

患者さんが安らかな死を遂げること。



なので、呼吸器を外す前に、機械から外しても呼吸が苦しくならない状態まで

モルヒネなどの鎮痛麻薬剤の点滴の量を上げてあげなくてはなりません。



・・・とここまで書いて、何だか安楽死の話だけでどんどん長くなりそうなので、

安楽死についてのこの続きはまた改めて詳しく別の機会に書くことにします。



本題に戻りますね!



安楽死を翌日に控えた患者さん。

そんな素振りなんてちっとも見せず、笑顔も垣間見せるほどの元気さ。

1日中ベッドでコツコツと何だか書き物をしたりと忙しくしてらっしゃいました。

後に、これが友達や親戚一人一人に宛てた手紙ということが判明したのですが。。。



私としてもこんな元気な患者さんが翌日に亡くなってしまうかもしれないという実感も湧かず、

普段どおりのお世話をしていました。



そして患者さんとの会話。(私は声で、患者さんはペンと紙で)


患者さん: "Are you from here?" (ここら辺の出身?)

私: "No, I was born and raised in Japan."  (日本生まれの日本育ちです)


なんていう何気ない会話から始まり、この患者さんは、

自分がテニスプレイヤーだったこと、

ジャーナリストだったこと、

世界中を旅したこと、

などをいろいろな話をしてくれました。



私は私で、日本の話とかいろいろしました。



そして、この会話の最後に患者さんが一言。



"I want to go to Japan someday."  (いつか日本に行きたいわ)




ん???



ていうか、あなた明日安楽死する予定じゃなかったっけ???

「いつか」っていつ???

これって、明日亡くなるかもしれない人が言う言葉???



私はものすごく戸惑ってしまいました。

もちろん患者さんの前では、

"Yes, you should come!!  It's such a beautiful country!!!"

(そうよ、ぜひ来て!とっても美しい国だから!)

と言ってみたけれど。。。

安楽死(尊厳死?)をする決意を改めて欲しいという願いも密かに込めて。。。



まだ独り立ちして半年の新米ナースの私は、どうしたら良いのか分からなくて、

先輩に相談しました。



ドクターに連絡して、ちゃんと精神科医のコンサルトが行われ、

単なるうつ状態から死にたい気持ちが生まれてしまったのではないか確認とったのか、

などなどいろいろドクターに確認したのですが、その日はあまり取り合ってもらえず。。。



一夜明けて、安楽死当日。

その日も私がこの患者さんの担当。



私はどうしても、彼女のあの一言が腑に落ちなくて、

なんとか出来ないかと最後まで暗中模索していました。

だって、単なる一時の衝動による決断で死んでしまったとしても、

あとから取り返しがつけられませんから。



看護師として、自分に対しても納得のいくまでこの患者さんの決意を確かめたい。



もう一度、ドクターに連絡して、患者さんに最終確認をとってもらうことにしました。

ところが、ドクターはちょっと怒り気味。

というのは、今まで何度も話し合って彼女が意を決して数日前にやっと決めた決断に対し、

今更それを正そうとして彼女の気をわざわざ乱し精神的苦痛を与えたくない、と。

先輩を含め、私達ナースとしては、私にあんな発言をしたからには、

もしまだ少しでも生きる望みを捨ててない可能性がある限り、

やっぱりちゃんと最終確認を取って欲しいと懇願。



結局、ドクターと数名のナースで囲んで、患者さんに最終確認を取りました。

私も私に『日本にいつか行きたい』って書いてくれたよね?」って患者さんに聞くと、

「あれは・・・。なんとなく・・・。」みたいな答え。



きっと複雑な心境が常に入り交じってたんだろうなぁ。。。

患者さんはこの話し合いで涙を流す結果となってしまいましたが、

患者さんの断固とした意志をスタッフ皆で最終確認。



やっぱり、意志は変わらないか。。。

と内心残念な気持ちはありましたが、患者さんの意志をそこは尊重。



でもそれでも、ほかに何かできないかと思い、

倫理委員会の人を呼んで相談しました。

すると・・・



お見舞いに来た旦那さんがナースステーションに来て、不思議そうに訪ねました。



「えぇ~っと、ちょっと確認したいんだけど。。。 状況・・・分かってるよね???」

(治療を止める筈なのになぜまだ抗生剤の点滴投与してるのか疑問だとのこと)


「はい。 でも、ドクターの安楽死のオーダーが最終的に出るまで、意志が変わる可能性も考慮して、治療行為を続けなくてはいけないんです。」


「あ、なるほどね。 そういうことだったらいいんだけど・・・」


「ご了承ください。」


「あのね・・・、彼女まだ元気だから、多分あなた達にとって彼女の決断は理解しがたいことだと思うんだけど。。。」


「僕も最初は理解できなくて大反対したんだよ。。。 でも、先日彼女が家族一人一人に手紙を書いてね・・・」



と言って、この旦那さんはその手紙の内容を話し始めました。



その衝撃の旦那さんへの手紙の内容とは・・・ (かなり掻い摘んでます)


「私は今まで、人生を思いっきり楽しんできました。

プロテニスプレイヤーやジャーナリストとして世界各地を旅して、

人の何倍も人生を謳歌できたこと、誇りに思っています。

そして、幸運にもこんなにステキな旦那さんや愛する子供達と

めぐり合うことが出来て、本当に幸せです。

((そしてこの手紙の中でいろいろな思い出を綴る))

この3年間の闘病生活、私のこと一生懸命支えてきてくれてありがとう。 

 ただ、これまでこんなにフルにアクティブに人生を楽しんで来たからこそ、

私は今のほぼ寝たきりの闘病生活にもう耐えられないのです。

だから、私はもう自分の人生に終止符を打つことにします。」



そして、この手紙の一番最後に書かれた一言・・・



”Do you love me enough to support my decision?"

「(死にたいという)私の決意をサポートしてくれるくらい、

あなたは私のこと愛していますか?」


 

この手紙の内容を真摯に聞いていた私を含む数名のナース全員、涙溢れ出す。



本当に・・・あまりの衝撃で・・・言葉が出てきませんでしたね。。。



こんな切ない愛の形、愛情表現って。。。


 
深過ぎて、想像もつかない。。。



この旦那さんは、この手紙を読んで以来、彼女のしたいようにさせてあげよう、

と決意なさったそうです。

もちろんそれは深い深い愛情から。



私はそんな深い愛情を与えることができるのかな。。。

そんな深い愛情を与えてくれる人にこれから出会えるのかな。。。





この手紙の話が一段落したところで、倫理委員の方がエキスパートらしい一言。



「彼女と家族皆で、裏庭にでも行って外で少しお散歩でもしたらどうかしら?」



な~んて、簡単に聞こえるかもしれませんが、これって結構大変なことなんですよ。。。

なんせ、呼吸器に繋がれてるICU患者さんですから。。。

お散歩に行ってる間に容態が急変して命を落としてしまう可能性だって否めません。



ICUの患者さんは機械に繋がれているだけあって、普段外に出るなんてもってのほか。

病室も暗くてほとんど陽の当たらない感じ。



でも、そんな状況にいた患者さんだからこそ、亡くなる前にほんの少しでも

外の空気を吸わせてあげたい。

燦燦と照りつけるカリフォルニアの太陽を最後に見せてあげたい。



この倫理委員の方のお陰で、私の中で、そんな強い気持ちが生まれてきました。

 

ということで、早速呼吸療法士にも手伝ってもらって、裏庭に散歩に行くことに。

呼吸器から外して、酸素バッグで呼吸を手動サポート。

モニターも移動用モニターに替えて、常時容態チェック。



慎重にベッドから車椅子に患者さんを移動して、

どんな状況になっても準備万全な状態でいざ外へ!!!



くねくねと長い病院の廊下から一歩外へ出ると、

青空とともに燦燦と照りつけるカリフォルニアの名物、カリフォルニア・サンシャイン☆



そして、青空に映えると色とりどりの花々


アガパンサス

可憐なアガパンサスもあれば、

ボーゲンビリア

ボーゲンビリアの鮮やかなピンクもあり、

ジャカランダ

更にはカリフォルニアの夏の風物詩のジャカランダの藤色も。



写真は全てイメージ像ですが、そんなちょっとした自然に囲まれた一時。



「暑いでしょ?木陰に入る?」


って患者さんに聞くと、


「いいえ、太陽が気持ちいいからこのままがいい。」


って患者さんは嬉しそうに、


太陽の方に顔を向けて、その太陽の温かさや輝きを体全身で受け止めていました。



あの気持よさそうな満面の笑み、今でも鮮やかに覚えていて、一生忘れられない。



気管切開されてるけど、大きくゆっくり息を吸いながら、匂いを嗅ぎながら、

体全身で外に出られた爽快感、自然に囲まれた幸せを噛み締めてらっしゃるようでした。



私もご家族も、涙が出てきそうになったけれど、そこは敢えて他愛のない会話。


「あ、あそこに咲いてるのはアガパンサスね。」

とか、

「ジャカランダ綺麗ね。」

とか。。。



幸い、私はカリフォルニアの木花の名前は知人に教え込まれていたので、そんな会話。



モニターもあったし、手動の呼吸サポートなので家族水入らずという訳には

してあげられなかったけれど、

何気ない会話の裏には、こうして外で人生の最期のキャンバスに鮮やかな色を付けている、

家族との掛け替えのない一時という特別な空間が広がっていて。。。



私は、何とか外に連れて来てあげることが出来て、本当に本当に良かった!

って、それだけの気持ちを噛み締めるのが精一杯で。。。



確か30分程度のほんの束の間だったけれど、

その時間は家族にとっても患者さんにとっても、輝かしい大切な宝物になったと信じてます。



普段、何気なく通り過ぎてる木や花、暑くて鬱陶しいと思う太陽の光であっても、

病気でそれすら見ることの出来ない、感じることの出来ない患者さんにとっては、

ものすごく価値のある尊いものなんですよね。



この患者さん、1日延期して翌日に安楽死が始まり、息を引き取ることとなりましたが、

その後数ヶ月経ってからも、倫理委員の方を通じて、

「あの時のこと、本当に感謝しています。」

と、ご家族の感謝の気持ちが私のところまで伝えられました。



こんな風に、ちょっとしたことで、

患者さんの人生の最期の数ページに色をつけてあげられる

そんな職業って、素晴らしいなって思いました。



こんな当たり前の小さなこと、数分のいたわりで

人の心に響く時間を生み出せる。



ナースの仕事って、きっとそんな小さなことの積み重ねなんですよね。



この患者さんはご家族にとって、この時間が宝物となったかもしれないけど、

私にとっては、この患者さんが気持よさそうに見せてくれたあの満面の笑みが、

私の一生の宝物です。





P.S.

長~い長~い記事になっちゃいましたが、最後まで読んでくださってありがとう☆



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ブログを始めてから今日で


100日目です~!!!



このブログの左下方のカウンターでブログ開始からの日数がカウントされています。



100日かぁ~。



早いな~って感じかな。



お陰様で、どんどん訪問者数やリピーターの方々も増えていて、とっても嬉しいです♫



熱し易く冷めやすい私が、ここまで続けていられるのも、

皆さんからの温かい応援や嬉しい感謝のコメントをいただいているからです。



公開コメント並びに拍手コメントくださった方々、

私の記事をいつも読んでくださっている方々、

皆さんの貴重な時間を私の記事を読むのに費やしてくださり、心から感謝しています。




100日を記念しまして、おこがましいようですが、

ブログ内記事ランキング☆

をご紹介してみたいと思います。



皆さんからいただく、拍手の数でみたランキングです。



初めて訪問してくださる方々には特に参考にしていただきたいです!

全てリンクになっているので、ぜひ記事内容までご高覧いただければ幸いです ♥



それでは、いってみます!



第1位: (14拍手)


第2位:(13拍手)  


第3位:(12拍手)


第4位:(8拍手同率)
第7位:(6拍手同率)



今のところ、このような結果となっています。



『すごい発見☆』が1位なのは、すごく嬉しいです。

思うままにつらつらと書いた超長文にも拘らず、最後まで読んで下さり

嬉しいコメントや拍手ポチもいっぱいいただいて、ブログを続ける大きな励みとなりました。



拍手数ランキングを見てみると、どんな記事に対して反響が大きいかが分かり、

今後記事を書くにあたり、とても参考になります。

何か感じたら、拍手1票していただけると助かります。



私のブログを読んでいただいて、コメントいただいて・・・

何が一番嬉しいかって、皆さんが私の記事を読んでいる少しの間だけでも

命の大切さを考える時間

をもってもらえたことです。




そうそう、拍手の1票に添えてとてもステキなコメントをしてくださる方々、

せっかく残していただいた拍手コメントに対してお返事出来ないシステムなので、

いつももどかしい気持ちでいっぱいです。


もし差支えなければ、拍手コメントとしてではなく、

公開コメントとして皆さんとシェアしていただけると嬉しいです。

私一人が読むのには勿体無いほどステキなコメントばかりなので。。。





これからも、皆さんの心の琴線に触れる様な記事をどんどんアップ出来るよう

頑張ってまいりますので、温かい応援よろしくお願いします☆




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プロフィール

名前
Angel
職業:
看護師 Registered Nurse
趣味:
ゴルフ ピアノ 食べ歩き
自己紹介:
1978年、早生まれ
埼玉県出身
カリフォルニア在住
アメリカ暦9年

日本の大学卒業後、医学研究職2年。

その後アメリカの大学へ留学。看護学部を卒業しBSN(Bachelor of Science in Nursing)取得を経て、RN(Registered Nurse)免許取得。

2004年夏より、カリフォルニアにある大学病院のICU(集中治療室)にて勤務中。
7年目のベテランナース(?)

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