カリフォルニアの大学病院にあるICUで看護師をして7年目。 ICUの中で起こる日々のドラマ。 アメリカの命の現場から生の声をお届け! アメリカ医療の裏側やナースの日常を覗いてみませんか? まずは「ハイライト」内の記事からチェック!!
毎日毎日、Ustreamで被災者の方々の苦しみや震災の無残な爪痕を観ていて、
ひどく胸を痛めています。
アメリカに居る私が出来ることは、とりあえずは募金かな、と思って募金をして・・・
募金集めの活動をして・・・
でも、それでもまだ足りない!!!
実際に被災地に行ってこの手で被災者の方々を助けたい!!!
毎日毎日、大海の向こうにある対岸から指くわえて被害状況を見ているのは
もう嫌です。。。
怪我をしている方々、持病のある方々、避難所で体調を崩された方々、
恐怖体験をしたり家族を亡くしたりしてひどく心を痛めている方々・・・
そんな方々のために、看護師として出来る限りのことをしたい。
募金するお金も私の財産の一部だけど、
看護師としての知識やスキルも
被災地まで行って皆を助けたいというこの情熱も
私の持っている大きな財産だから。
私の財産を出来る限り寄付したい。
ということで、
被災地に行く覚悟を決めました。
今日、ウチの大学病院のICUに勤務する日本人ナース仲間で話し合い、
皆で被災地に向かうおうということになりました。
アメリカはボランティア活動がとても活発な国なので、
何かある度、看護組合でも看護師のボランティアチームが結成されます。
アメリカの免許だけで日本での看護免許を持たない私にとって、
個人の看護師として被災地に向かうことは困難と思われるので、
このボランティアチームの一員として行こうという計画です。
現在、看護組合の幹部の人達がいろいろ調査中とのことです。
日本赤十字社では500人の医療スタッフを現地に派遣したものの、
現地の壊滅的状況により現在は一般のボランティアを受け付けてないというし、
看護師のボランティアについてサーチしても、ほぼ具体的情報ゼロ。。。
日本での医師免許を持っていない医師でも医師行為を認めてるみたいけど、
そんなに緊急の事態ならば、もっともっと医療ボランティアの人達に対して
もっともっと応募情報をオープンにしてボランティアに行きやすい環境を作って欲しい。
どこかの病院では手に負えなくなって、新規の患者受け付けをやめたという話。
一日も早く被災地に行ってお手伝いしたいけれど・・・
今の時点ではウチの大学病院の看護組合によるチーム結成を待つしかないのかなぁ。
日本のことなのに、アメリカ人に任せちゃってて大丈夫なのか若干不安。。。
もし何か有用な情報を持っていらっしゃる読者の方いらしたら、ぜひコメントください☆
なんだか気持ちばかりが前のめりになっちゃってるから、
チーム結成を待つ間、ちゃんと準備を始めていかないと!
何のご縁かわからないけれど・・・
辛くて苦しんでいる人を見ると何もせずに居られない性格。
たまたまそういう風に生まれ育ってきちゃったんだから仕方ないよね。
こんな性格になったのは幸か不幸かわからないけれど、
皆がこういう性格をもっているとは限らないから、
たまたまそういう性格に生まれ育った人達が行動しなくて、誰がする?
看護組合のボランティアチーム結成や日本側の受け入れがスムーズにいかなかったら
被災地に向かえないという可能性もあるけれど、
とりあえずこの決意を実現化させるために努力してみたいと思います。
もしも何らかの理由で敢なく行けなくなったとしても、どうぞ温かくお見守りください。。。
このブログを読んでくださった方、
あなたのもっている財産は何ですか?
たとえ、あなたが節電マニアだったとしても、
その節電スキルはあなた自身の持つ財産であり、
それを寄付することで被災地の方々が少しでも救われますよね。
ということで、早速呼吸療法士にも手伝ってもらって、裏庭に散歩に行くことに。
呼吸器から外して、酸素バッグで呼吸を手動サポート。
モニターも移動用モニターに替えて、常時容態チェック。
慎重にベッドから車椅子に患者さんを移動して、
どんな状況になっても準備万全な状態でいざ外へ!!!
くねくねと長い病院の廊下から一歩外へ出ると、
青空とともに燦燦と照りつけるカリフォルニアの名物、カリフォルニア・サンシャイン☆
そして、青空に映える緑と色とりどりの花々。
可憐なアガパンサスもあれば、
ボーゲンビリアの鮮やかなピンクもあり、
更にはカリフォルニアの夏の風物詩のジャカランダの藤色も。
写真は全てイメージ像ですが、そんなちょっとした自然に囲まれた一時。
「暑いでしょ?木陰に入る?」
って患者さんに聞くと、
「いいえ、太陽が気持ちいいからこのままがいい。」
って患者さんは嬉しそうに、
太陽の方に顔を向けて、その太陽の温かさや輝きを体全身で受け止めていました。
あの気持よさそうな満面の笑み、今でも鮮やかに覚えていて、一生忘れられない。
気管切開されてるけど、大きくゆっくり息を吸いながら、匂いを嗅ぎながら、
体全身で外に出られた爽快感、自然に囲まれた幸せを噛み締めてらっしゃるようでした。
私もご家族も、涙が出てきそうになったけれど、そこは敢えて他愛のない会話。
「あ、あそこに咲いてるのはアガパンサスね。」
とか、
「ジャカランダ綺麗ね。」
とか。。。
幸い、私はカリフォルニアの木花の名前は知人に教え込まれていたので、そんな会話。
モニターもあったし、手動の呼吸サポートなので家族水入らずという訳には
してあげられなかったけれど、
何気ない会話の裏には、こうして外で人生の最期のキャンバスに鮮やかな色を付けている、
家族との掛け替えのない一時という特別な空間が広がっていて。。。
私は、何とか外に連れて来てあげることが出来て、本当に本当に良かった!
って、それだけの気持ちを噛み締めるのが精一杯で。。。
確か30分程度のほんの束の間だったけれど、
その時間は家族にとっても患者さんにとっても、輝かしい大切な宝物になったと信じてます。
普段、何気なく通り過ぎてる木や花、暑くて鬱陶しいと思う太陽の光であっても、
病気でそれすら見ることの出来ない、感じることの出来ない患者さんにとっては、
ものすごく価値のある尊いものなんですよね。
この患者さん、1日延期して翌日に安楽死が始まり、息を引き取ることとなりましたが、
その後数ヶ月経ってからも、倫理委員の方を通じて、
「あの時のこと、本当に感謝しています。」
と、ご家族の感謝の気持ちが私のところまで伝えられました。
こんな風に、ちょっとしたことで、
患者さんの人生の最期の数ページに色をつけてあげられる、
そんな職業って、素晴らしいなって思いました。
こんな当たり前の小さなこと、数分のいたわりで
人の心に響く時間を生み出せる。
ナースの仕事って、きっとそんな小さなことの積み重ねなんですよね。
この患者さんはご家族にとって、この時間が宝物となったかもしれないけど、
私にとっては、この患者さんが気持よさそうに見せてくれたあの満面の笑みが、
私の一生の宝物です。
P.S.
長~い長~い記事になっちゃいましたが、最後まで読んでくださってありがとう☆