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Angel Blue ~アメリカICUナースのブログ~

カリフォルニアの大学病院にあるICUで看護師をして7年目。 ICUの中で起こる日々のドラマ。 アメリカの命の現場から生の声をお届け! アメリカ医療の裏側やナースの日常を覗いてみませんか? まずは「ハイライト」内の記事からチェック!!

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先日も、私が感謝祭の休日2日連続でお世話した患者さんを受け持ちました。

  ★その時の記事参照
    愛する人を目の前に・・・ 葛藤、恐怖。
    胸の中がとんでもないことに!(写真説明付き)


この患者さんをまた受け持った日、ふと自分に問いかけた疑問。


痛みのない世界か、愛する人達のいない世界か。。。

どっちをとる?


この患者さん、フェンタニルという麻酔薬としても使われる鎮痛剤の点滴を投与され続けているので、意識がとても朦朧としていて、誰かが声をかけたり触ったりしなければ、ずっと寝ている状態

呼吸器、持続的人工透析機、胸腔ドレーンチューブ、点滴装置などなど、数々のマシンの音だけが病室で唸りをあげてる。


肺・肝臓・腎臓などの多臓器不全で予後不良。
あとは苦しみに耐えながら死を待つだけ・・・

でも、治療は辞めたくない。

という意志を持った患者さん。


繋がれたたくさんの機械が幅狭しと敷き詰められた部屋の中、腹水で膨れたお腹以外は骨と皮だけになった小さな体で一生懸命生きようともがいている。

この患者さん、骨と皮とは文字通りで、お尻の脂肪も無いため、2ヶ月くらい前からお尻に床ずれが出来てる状態。

2時間毎に体を寝返りさせて常にお尻を浮かせる状態を保ってあげたり、
クリームや特殊な床ずれカバーをつけたり、
床ずれ患者ようの特殊ベッドに寝かせたり、
最大限の努力を施してきた。


でも、病気は床ずれなど気にせずどんどん進行し、体が弱っていく。

肝不全もあって、点滴で栄養剤を投与してどう頑張っても常に栄養失調。

床ずれでも何でもそうだけど、傷を治すのには栄養補給が不可欠
でもなかなか床ずれを治すまでの体力も栄養補給も難しい状態。


そして、この床ずれ、2ヶ月経過した今は IV度 の一番酷い状態
床ずれの進行度による分類 by Wiki)

皮膚から筋肉、骨にまで貫通して、お尻の骨が見えている状態

見える部分の直径は12cm くらい。 
でもトンネル状になって見えない部分の深さは測り知れず。

血が滴り、死んだ皮膚組織がドロンとスライム状にぶら下がっている状態。


直接痛み感じることは出来ないけど、想像しただけでも痛みは相当なはず。

痛い思いをして欲しくないので、フェンタニルの量を様子を見ながら調節。



で、夕方になってその日最初のお見舞い客、お姉さん登場。

少しすると、お姉さんが涙を垂らしながら、私を呼んだ。

「すごく痛そうな顔してるの。。。 ずっと顔をしかめてる。。。 痛み止めの量を多くしてください。」


それまで、ずっとスヤスヤと寝ていた患者さん、お姉さんが来て話しかけたので目が覚めたんでしょうね。

目が覚めると常に顔をしかめて痛そうな表情をし始めるので、お姉さんがそれを見て耐えられなくなったのでしょう。

かなりの量のフェンタニルを既に投与していたけど、患者さんが痛そうな表情をしている以上、危険じゃない程度に量を増やす。

量を増やす前に、お姉さんに一応確認。

「フェンタニルの量を増やすと、また眠り始めてお話出来ない状態になってしまいますけど、それでもいいですよね。」


この発言は、お姉さんの許可をとるというよりも、予測される事態を理解してもらうのが目的。


お姉さんももちろん、「彼女の痛みが無くなった方がいい」って一言。


フェンタニルの量を増やして少しすると、この患者さんまた眠った状態になった。



そして、私はふと思った。



もし自分がこの患者さんだったら、

少し痛みを我慢してでも、家族や愛する人達に手を握られて話しかけられていたい?

それとも、

愛する人達の存在が見えなくても、痛みのない安らかな状態でいたい?


どっちなのかなぁ。。。 痛みのレベルにもよると思うけど。。。

死ぬまでの短い間、一人ぼっちで淋しい思いをするのはイヤだなぁ。。。

たとえ体がどんなに悪くても、心は満たされていたいかなぁ。。。


あなただったら、どう思いますか?
 
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そうですね~~

angelさん、こんにちは~☆ 私だったら、こんなこと考えてよいでしょうか・・・・死なせて貰いたいと正直に言います。痛いのは辛いしそれを見る家族も辛いと思います。家族を安心させるために眠り続けるのも生きているとはいえない気がするのです。 quality of life  自分を痛みから解放させたいと思うと同時に家族をも解放してあげたい、と思いました。

Re:そうですね~~

貴重なご意見ありがとうございます。

家族の話によると、この患者さんはファイターで、ずっとずっと30年ほど病気と闘ってきた。
だから、今更諦めたくない。

患者さんのそういう気持ちもすごくわかるんです。
そして家族は患者さんの意志を尊重したいと。

でも、実際に家族は愛する人が痛い思いをしているのを見続けるのも辛いし、でも死んでほしくないし。。。

この家族は最初、緩和ケアで安楽死的方向のことを考えていたのですが、患者さん本人の意志がはっきりとしていた時期もあり、それを尊重して治療を続けることに。

患者さんは生きるのに必至で、きっと家族を開放してあげたい、ということまで考える余裕は、もしかしたらないのかもしれませんよね。。。
その人それぞれの考えで、答えに正解も不正解もないだけに、とても複雑だし深い問題だと思います。

家族を開放してあげたい、と考えられるtakaさんの思いやりは、とても素晴らしいと思います!

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プロフィール

名前
Angel
職業:
看護師 Registered Nurse
趣味:
ゴルフ ピアノ 食べ歩き
自己紹介:
1978年、早生まれ
埼玉県出身
カリフォルニア在住
アメリカ暦9年

日本の大学卒業後、医学研究職2年。

その後アメリカの大学へ留学。看護学部を卒業しBSN(Bachelor of Science in Nursing)取得を経て、RN(Registered Nurse)免許取得。

2004年夏より、カリフォルニアにある大学病院のICU(集中治療室)にて勤務中。
7年目のベテランナース(?)

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