昨日は、70代の男性患者さんの受け持ち。
この患者さん、先月末に床に
倒れてるところを発見され、ERを経てICUへ。
胃潰瘍による出血との診断が出て、処置が行われ、今はもうすっかりお元気に。
ところがこの患者さん、まだ
足元がものすごくふらついていて、
ベッドから椅子に座るのもままならないのに、勝手に一人でベッドから出ようとしてばかり。
何度も何度も、
「立ちががる時やベッドから出たいときは、ナースコール押して教えてね」
って注意するも、聞く耳持たず・・・というかすぐに忘れてしまうみたい。
ふと部屋の中をみるとベッドや椅子から出ようとして落ちそうになってるのを発見し、
私が一目散に駆け寄って、体を支えに行くことが何度となくあって。。。
全く気の抜けない状態。
椅子に座っていたかと思うと、ちょっと目を話した隙に立っていたりするので、
記録用のデスクから常に部屋の中を覗いていたのですが、
なんせ、速い速い!
MRSA(多剤耐性ブドウ球菌)という院内感染の恐れのある強い菌を保有してるので、
この患者さんの部屋では、
隔離用のガウンや手袋着用の義務があります。
でもね、一人で勝手に立っちゃって今にも倒れそうにフラフラしてる患者さんを目の前にして、
いちいちガウン着てゆっくり歩み寄ってる時間無いわけですよ。
MRSAの隔離も大事だけど、何よりも
患者さんの安全第一ですから。
患者さんがもし転倒して頭打ったり怪我したりなんかしたら、私の
責任問題になるし。
だから、こういう時は
最初ガウン着ないで駆け寄ってでも、患者さんをまずは椅子に座らせ安全確保。
そのあとで、部屋の入口まで戻ってガウンを着る。
ずっとそんなことの繰り返しだったのですが・・・
患者さん椅子に座らせて、
「今ガウン着てからベッドに戻してあげるから、何度も言うけど絶対一人で立たないでね。」
とよくよく言い聞かせて、
入り口まで歩いてガウンに手を伸ばした瞬間、
なんか嫌な予感。。。
ふと後ろを振り返ると・・・
患者さんまた一人で立っちゃってるじゃないの~!
しかも、めっちゃフラフラしてる!!! ( ゜o゜;)
「NO~~~!!! HOLD ON~!!!」
(ノォー!!! ちょぉ~っと待ったぁ~!!!)
ねるとん紅鯨団の男子並に叫びながら、すぐさま踵を返して、患者さんのもとへ!
倒れる寸前の患者さんをかろうじてキャッチ!!
(てか、ねるとん紅鯨団って・・・古っ! すみません。。。)
ほんとさぁ~、勘弁してよ~。。。
部屋の入口まで歩いた数歩の間、患者さんに背を向けただけなのに。。。
これじゃ~、もう一人の患者さんの部屋におちおち行ってられないじゃないの。
お陰でずっと立ち通しだし、記録はなかなかできないし・・・
う~ん。。。 正直イラッときちゃったけど、そこはやっぱり、
病を憎んで人を憎まず!
たださすがに、これには私も痺れを切らして、Sitter (シッター)をリクエスト。
日本の状況はよく分かりませんが、アメリカの病院には
シッター制度があります。
ベビーシッターのシッターです。
シッターという言葉は、別にベビーだけに限らず、普通に
Dog Sitter などにも使われ、
要するに、
誰かの代わりにおもりをする人、のことです。
病院でのシッターの役割は、
今にも暴れたりベッドから飛び出そうな患者さん、や
自殺願望を持って自殺する可能性のある患者さん、の
見張り おもり
です。
Sit (座る)の動詞に、 er(~する人)っていうくらいで、
要するに、ずっと患者さんの部屋で座ってれば OK!
とっても楽な仕事ですよ。
座ってるだけでお金が貰えるんですから。
といっても、何かしてないとソワソワして逆に落ち着かないタイプの私は、
こういった仕事、大の苦手ですが。。。
逆にゆとりのある仕事がしたい方にはとってもオススメのお仕事です!
という訳で・・・
私のシフトでは急すぎて、シッターの確保が出来ませんでしたが、
夜のシフトではなんとか、シッターを手配できるとのこと。
幸い、患者さんの家族も来てくれて、シッターが来るまでは残るって言ってくれたし。
良かった~~~!
これで一安心。
あのままシッターが手配できなかったら私、心配で夜も眠れないだろうし、
それに、次のシフトでこの患者さんをケアするナースに対して罪悪感になっちゃうよ。
あ、ちなみに・・・
訴訟社会アメリカでは、とにかく何でもかんでも
記録することが大事。
患者さんがどういう状態だったのか、
患者さんにどうしてシッターが必要なのか(シッターの分の余計なお金もかかるし)、
そして、私が
シッターを要請したこと、
これをバッチリ記録しておきました。
こういった記録をしておけば、
シッターが手配できなかったのは、病院側の責任になるし、
患者さんのコントロールが厳しい状況だったことの
証明にもなり、
たとえ患者さんが次のシフトで転んで訴訟が起こされたとしても、私はセーフ。
やるだけのことはやった訳ですから。
なんか、この患者さんのことでハラハラしてばかりで、1日がとても長~く感じましたが、
なんとかシフトを乗り切りました。
それにしても、患者さんほんと無事で良かった~~~。
ナースの心得、その3:
細やかな記録で自身の身を守るべし!
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[5回]
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この記事へのコメント
素晴らしい制度ですね
重要視される傾向にありますが、
訴訟自体がそれ程身近ではないですよね。
アメリカだったら、
すぐそばでも訴訟されるでしょうから、
記録にも力が入ることでしょう。
(日本が手を抜いている訳ではありませんが…。)
「シッター制度」ってすばらしいですね。
ちょっとでも目が離せない患者さんの為に、
全体をみる事がとても大変になる事は
よくあることですね。
地方の病院などではすぐに家族が呼び出されて、
行く事が出来ないとなると、
入院すらさせてもらえなくなる事があります。
多少のお金がかかるのは仕方がないとして、
是非日本でも取り入れてほしい制度だと思いますよ。
Re:素晴らしい制度ですね
訴訟は面倒なだけでなく、命が関わる職業なので、恐ろしい金額を要求されたりするらしいですね。 特にアメリカは。 記録は時間が掛かるし面倒な作業ですが、決して気を抜いてはいけない部分だと思っています。
シッター制度、あるととても便利ですよね。ただやはり、高いお金がかかるので、理由をちゃんと正当化しなければなりません。 なので、出来るだけ家族のヘルプを乞うのが優先です。
ただこの点については、どうしても疑問が残ります。 もし家族の不注意(居眠りとか)で患者さんが転倒してしまったら、いったい誰が責任を取るのでしょうか。 そこら辺が微妙なところですよね。。。
無題
一人で抱えていたハラハラ感が
少し軽くなりますように。
Re:無題
そうなんです!一人で抱えているハラハラ感。その表現ピッタリです!
あのハラハラ感があると本当に気疲れしてしまいます。。。
シッターさんがいると随分気持ちが楽になります。
無題
日本でも今後普及していくのでしょうか。
アメリカ来て日本では見過ごしがちな(←おい)記録や契約の大切さを再確認してます。
内でも外でも訴訟や弁護士系の広告がはんぱないですもんね(笑)
Re:無題
日本でもシッター制度があるんですね!しかも炭鉱で働いていた方だけが入院する病院があるというのも驚きです!
特にカリフォルニアは看護師対患者の比率を改善しようと頑張ってる州でもあります。これからもっともっと看護師に対してやさしい職場になると嬉しいです。それは患者さんにとってもやさしい状況となるはずですからね。
アメリカいらしたばかりで、今いろいろな法律用語などに奮闘なさってるかとは思います。書類の重要さ、そして怖さを身にしみて感じますよね。頑張ってください!
無題
Re:無題
RNのお勉強もあと1年とのことで、きっとこれからどんどん実習が入ってくる頃ですね。 教科書では勉強できないことが、実習にはいっぱい詰まってると思います。
そんな実践でも慌てないようにするためには、ケース・スタディー(症例研究?)が役に立つのではないかと思います。 そのお手伝いをこのブログで少しでもできたら嬉しいです!
いろいろ辛いこともあると思いますが、その1つ1つが必ずSaticoさんの糧となるはずです。 頑張ってくださいね! 応援しています!