今日は80代の
盲目の患者さんについてのお話。
私の担当ではなく、お隣りの部屋にいた患者さんですが、この方、
緩和ケアで病室にて
一人ぼっちで死を待っている状態。
「待っている」というのはちょっとおかしな表現なのかもしれませんが、正直ほかに言葉が見つからなくて。。。
担当ではなかったので、詳しい病名とかまでは知りませんが、
この患者さん、
盲目な上に
痴呆症があるようです。
緩和ケアになるくらいなので、病気の予後が悪いのでしょう。
病院の病室のベッドで、ずっと一人で寝ています。(全室個室)
というか、起きてるのか寝ているのかよく分からないくらい全然動きません。。。
何が悲しいかって・・・
誰一人としてお見舞いに来ない
それどころか、この患者さん、老人ホームからICUに運ばれて来たそうですが、
老人ホームで過ごした
5年もの間、一人もお見舞いに訪れなかったそうです。
そんな孤独な5年間を過ごした上に、死ぬ間際の今となっても
誰にも看取られることなく、一人ぼっちで他界していく。。。
訪れる人は、ナースとかドクターとか、病院のスタッフのみ。
盲目のこの患者さん、
最後に何を見るでもなく、誰に会うでもなく、
闇に包まれたまま死を迎える。
そんなことをつらつらと考えていたら、とてもやるせない気持ちになりました。
幸か不幸か、もしかしたら痴呆症で状況が理解出来ていないかもしれないけど。。。
人生の最後、愛する人達の声を聞きたかっただろうな。。。
人生の最後、愛する人達の手を握りたかっただろうな。。。
老人ホームにいた5年、そして死ぬ間際の今になっても
なぜ誰も会いに来ないのか、家族がいるのかいないのか、
そこら辺の状況や理由は全然わからないけど・・・
一人で孤独に死んでいくって、どんな気持ちなんだろう。
私が死ぬ時は、誰かずっとそばに居て見守ってくれるかな。。。
私はどちらかというと、淋しがり屋だから、一人で死ぬのは嫌だな。。。
もしも結婚せずに、子供も産まずに、ずっと家族のいない人生を送るとしたら、
やっぱりこのお婆さんみたいに病室で一人ぼっちになっちゃうのかな。。。
そんなの絶対、切ない。。。
次に働くときは、このお婆さんに話しかけてみようかな・・・
と思いながら、仕事にいったのですが、既に時遅し。
この患者さん、ICUから他の病棟に移動されてました。
もっとちゃんと気が付いたときに話しかけてあげれば良かった。。。
でもその時は、なんか胸がいっぱいでそんな余裕なかったよ。。。ごめんね。
ちょっと後悔。。。
どうかこの患者さんが、体の痛みも心の痛みもない安らかな死を迎えられますように。。。
[6回]
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この記事へのコメント
ふむふむ。
王子もよく老人ホーム→救急→解剖という患者さんに出会います。つい最近も認知症のおばあちゃんの解剖でしたが、色んな部位の癌の手術を繰り返してるようなのですが、家族も以前の病院も詳細が分からないという・・・
記事を読ませてもらって、王子が大学生の時、自分の祖母が施設に入所中で、認知症が進行して身内も分からない状態だったのですが、手を握ると笑顔で答えてくれたのを思い出しました。
医師、看護師に限ったわけではないですが、後悔や反省の連続で色々と考えさせられる職業ですよねぇ。
Re:ふむふむ。
特に家族にとって、認知症は本当に辛い病気ですよね。 手を握るということは、簡単で基本的なことかもしれないけど、実は心の奥まで気持ちが伝わり易い仕草なのかもしれませんね。
身内の区別もつかないのは辛いけれど、きっと握った手の優しいぬくもりを通してちゃんと王子さんの気持ちが伝わり、それがお祖母様の笑顔へと変わっていったんだと思います。
人を相手にする職業って特に、毎日が試練で勉強なんですよね。 これからももっと勉強して頑張っていきたいと思います!