前回の記事の最後の部分で、
吠える患者さんについて触れましたが、
今回は
噛む & 唾を吐く患者さん
についてお話したいと思います。
実は私が
『愛する人を目の前に・・・ 葛藤、恐怖』という記事を書いた去年の感謝祭当日、
他の患者さんの部屋では
大事件が発生していたのです。
私のいるICUには本当に色々な患者さんが訪れますが、
たまに、
薬剤の過剰投与によりICU行きとなる患者さんも来ます。
薬の種類によりますが、過剰投与で
昏睡状態となり
命の危険に晒されることも
決して稀ではありません。
今回のエピソードに出てくる患者さんは、とある
麻薬性のある薬を故意に大量投与し、
意識不明の重態となり、更には
呼吸困難も見られたため、
気管挿管された患者さんでした。
私の直接の受け持ち患者さんではありませんでしたが、
いきなり他の患者さんの部屋から
「ストップ! ストーーーップ!!」
という大きな声がしたので、その部屋に急いで駆けつけてみると、
患者さんが挿管されていたはずの
呼吸チューブを勝手に抜こうとしていました!
呼吸をサポートしているこのチューブを抜いてしまうと
また呼吸困難になる可能性が高いので大変なのです。
担当のナースが必至でそれを止めようとしていましたが、
まだ若い男性の患者さんだったので、その人の強い腕力に及ばず、
患者さんが
抜管成功。。。
万が一のため専用の紐でベッドに拘束し、抜管などを未然に防ぐ努力はしていたのですが、
とにかくベッドの上でいきなり暴れだし、すごい腕力でなんとか手を口元に持っていき、
気管内チューブを引っこ抜いたのです!
それまで麻薬の過剰投与や鎮静剤影響で静かに眠っていたそうですが、
その効き目が切れ始めたのか、いきなりの大騒動。
患者さんが勝手にチューブを抜いてしまうことは、稀ではありませんが、
この患者さんはその後に問題が。。。
薬の過剰投与による一時的な
肝性脳症もあり、
精神混乱状態にあるため、
ナースが数人がかりでまたベッドに拘束しようとしても、とくかく暴れる暴れる。
患者さんは
憤慨マックス状態!
挙句の果てに、叫びながらナースに対して
罵倒・暴言吐き始める。
もちろん
放送禁止用語続出のひどい罵りでした。
看護師側としては、患者さんの
安全のためにベッドに拘束しようとしたのですが、
精神混乱状態の患者さんからしてみれば、確かに理不尽に思えるのでしょう。
怒りに怒り、叫びに叫びまくっても体を抑えこもうとするナースに対してこの患者さんは、
ナースの腕をガブリ噛む!!
ナースに向かって思いっきり唾を吐く!!
なんてことをし始めた訳です。
患者さんの唾がベットリとユニフォームに付着してしまったナースがいましたが、
幸い噛まれたナースの傷は大したことはなく、大事には至りませんでした。
こうなってはナースもお手上げ状態寸前です。
鎮静剤などでなんとか患者さんを安定させることが後にできましたが、
ICUではこのような未知なる
危険も潜んでいるわけであります。
感染能力の強い
感染症を持った患者さんが多数訪れることもあり、
もし血が出るほど噛まれたりした場合には恐ろしいことになるのです。
ある意味、
患者さんも命がけでしょうが、ナースも命がけ。
でもここは、ナースとして、
病を憎んで人を憎まず。
この患者さん、翌日にはり事件の原因である一時的な
薬物中毒からすっかり回復し、
その担当ナースに対して、
何度も平謝りをなさっていたそうです。
記憶は残っているもんなんですね。
お酒を飲み過ぎてハメを外してしまった嫌な記憶が翌日に残ってる的な感覚でしょうか。。。
患者さんとしても、精神混乱状態時の行為とはいえ、
謝るときはきっと、決まりの悪いことこの上なかったことと思います。
でも、ナースも謝罪してくれたことに対して、素直に喜んでいました。
という訳で・・・
ナースの心得その1、
病を憎んで人を憎まず
でございます!
[6回]
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この記事へのコメント
無題
http://freakchan.com
Re:無題
コメントありがとうございます。
サイト拝見しました。
川柳面白いです!
これからも楽しみしてますね☆